あたしとお前といつかのあたし

精神科のロビーで二度見される女

嫌いな味のグミ

睡眠薬を絶って丸3日が経とうとしている

なぜか眠くなって寝た日から、なんとなくやめて今日だ 確かに昨日は「続けられたらいいな」という意識のもと意図的に飲まなかった

ただ別に、誰にも強要されていないので、飲みたい日が来ればいつでも飲もうと思う

 

寝てしまった

睡眠薬を飲むと、体内の成分のみならず、脳が寝ようと意識する

飲まないで生きようとすると、寝る気じゃない時に寝てしまう

数日薬を抜いただけなのに、ほぼ毎日数時間の気絶をしている

今日も両親の声で目が覚めた

時計を確認すると、日付が変わりそうな時刻だ

寝る前に電話を繋げる彼氏は寝てしまっただろうか 慌ててiPhoneを開くも、あまりに呑気な連絡しか来ていなかった

見たらすぐに電話して、とだけ打ち、再度寝る体勢をとるが、もう目を閉じても脳は休もうとしなかった

 

効率を重視する上で相手の気持ちは初めから考慮しておくほうが得策だと思う

相手の気持ちを考えずにする行動や言動は、後々誤解を招いたり、言い合いになったりする

相手とこれからも一緒にいたいなら、初めから相手の気持ちを最大限に考慮した言動を心がけたほうが、相手に思いもよらぬケチをつけられたときに「あたしはあなたの気持ちをここまで考えました」という事実が武器になる、大抵「その一方であなたはどれだけあたしの気持ちを考えたのか」という議論で、その勝負はあたしのものだ

相手と今後深く付き合う気がないのであれば、自分が他人を嫌いになる要素を発見する前に離れるほうが傷つかなくて済むと考えている

 

ちなみに喧嘩をすることは勧めない

喧嘩の前に1度冷静に考えるべきだ

相手は自分と同じレベルの人間だと思うなら喧嘩をすればいい

相手が格上なら、こちらがいくら喧嘩を売ろうと相手は買わないだろう

逆に相手が格下でも、こちらが喧嘩を売った瞬間に同レベルになる

損切りを優先するあたしにその選択肢はない

 

喧嘩をしないためにも、相手の気持ちを考える工程は必要だが、今の彼氏はその能力が絶望的にない

きっとこれを読んでいるあなたが想像できる範囲の10倍は欠けている

昨今は共感性がないなどと簡単に言葉を使うが、近くにいる人間として思うこととすれば、はなから共感する気がないのだ

話を聞いても相手の気持ちがわからない、さらにそれを本人がコミュニケーション上の不安要素として自覚しているパターンと、話を聞くだけで相手の気持ちを想像する気がないのはあまりにも別物だ

まずは丁寧に噛み砕き、簡単な日本語を使って「話をする時に相手の気持ちを考える」という工程を彼の脳内に組み込む努力をしなければならない

相手が子どもならまだしも、時間だけが過ぎて成人し、凝り固まった脳内を改造するのはあまりにも難関だ 何度も繰り返し同じことを言わなければならないし、翌日になったらリセットされている日の方が多い

ネットスラングである「義務教育の敗北」を、肌で感じるだなんて夢にも思わなかった

 

ネットスラングは、あくまでインターネット上でしか出会うことのできない非常識な人間を卑下するためにあることが多い

これも例外ではなく、無戸籍の問題などで、施設に育てられ、義務教育をすり抜けてしまった人間の話はしていない

義務教育を通ったとは思えないほど知識や教養がないと思われる人間に向けられるスラング

だからこそ、現実でそのような人間に会うと、不思議とスラングの擬人化のように思える

元々人間に向けられていたはずの言葉だが、本当に人間に向ける日が来ると脳がショートしてしまうのだ

 

彼は義務教育のどこかで、相手の気持ちを考えることを1度でも習わなかったのだろうか

だとしたら今でも健在の両親は何をしていたのだろうか

 

不満を言語化して簡潔に伝えたあたしに対して、今も電話越しに彼の嫌味が聞こえてくる

確かにそれはあたしに向けられて発されている言葉だが、言われる義理がなさすぎて響きもしなくなってしまった

相手の気持ちを考えなかったことを指摘しているあたしと、相手の気持ちを考えられなかった彼との間には、いくらなんでも差が開きすぎている

 

ああ、義務教育が今日も負けているなと黄昏てみた

失言があった時に指摘するために、こちらで娯楽などを楽しむことはできないが、脳トレをするゲームをしながら話を聞き流す

嫌味を言うだけの彼と、その時間を脳トレに費やしたあたしの間に、また差が開いてしまった

 

いつか、喧嘩ができるだろうか