あたしとお前といつかのあたし

精神科のロビーで二度見される女

4:44

寒空の中で飲む缶のミルクティーは、格別な味がするものだと思っていた

さっきのミルクティーに限って、味がしないどころか、温かいとすら思わなかった

140円で買えたのは、ぬくもりではなく味のついた白湯で、それを悲しいとも思わない自分が公園のベンチに座っていた

足を組む気力すらない

薄味のそれは、やけにセブンスターとの相性も悪く、なぜ飲んでいるのかもわからずじまいで飲み干した

 

世の中、知らない方がいいことの方が多い

少しの気に食わないことで全てが狂い、一瞬で信じたい人を信じられなくなる

 

コンサータはとうに切れた

止まらない欠伸に反して、眠る勇気はない

 

何処かへ消え去ってしまいたいと家を出たけれど、行くあてもなく部屋に帰ってきてしまった

 

無機質なアラームの音が突然恋しくなる

現実はいつだって深掘りすれば残酷で、いかに浅く生きるかという命題は、この世の勝ち組になる手段への答えに限りなく近い

不毛な争いをするよりも、争いごとに近づかないことの方がよっぽど賢明だ

 

親しい人に殺意が湧いた夜

信じた人を疑い始めた夜中

それでも、気持ち悪いほどに"いつも通り"の朝を迎えて過ごす人生のどこが幸せなのだろうか

 

答えなら知りたくない

別になにも知りたくない

眠れない、いや、眠らない夜は短い

 

そういえば、あたしが1人で夜中に家を出たのにも関わらず、家族と恋人は揃いも揃って気づきもしなかった

此処に生きる価値などあってたまるか

かと言って、そんな奴らの為に死ぬほどこの命は軽くない

 

本当は誰かに心配してほしかった

今日もあたしは醜い女だ