いつだって笑って生きることなんて、あたしにはまだ難しい
久々に、無心で生きているだけなのに涙が溢れる状態になる 心の中では「久々の感覚だな」と、不気味なほどに冷静だった
少しだけ上手く生きている時の自分の「かわいく生きる」のモットー見習ってネイルをした 手先の器用さになら自信がある
いつもよりたくさんのデコレーションを施して、夜な夜な自分を少しでも好きになれたら、かわいく思えたらとネイルを施した
完成形は、ラグジュアリーな仕上がりではなく、ただごちゃごちゃしたデザインで、全くかわいくなんてなかった
過剰な愛を向けられて、キャパシティという水槽から溢れ出してしまい、下水道に流れて行ってしまうあの感覚と酷似している
普段はその、溢れてしまった愛を求めて下水ごと舐めるようにして探すほど枯渇しているはずなのに 小さな水槽に、貴重なものを注いでは、ただのゴミにしてしまった
かわいくなれる気がして、苺ミルクにピンクのストローを挿したあの日を少しだけ思い出す (本ブログ「邪魔な遺書」参照)
そういえば、ネイルをしているとき、あたしの指先は震えていた
満員電車、どこかもわからない駅で人ごみをかき分けて降りる
小さな頃に教室で見たモーゼの十戒の想像画が頭に浮かび、馬鹿馬鹿しくなる 口角は下がったままだった
あたしは嘘なんてつかない、嘘をつく人が嫌い
ただ自分を騙して生きていなきゃうまく笑うことすらできないあたしは、いつだって自分に嘘をついている
あたしが泣いていたら、みんなに煙たがられてしまう
無理して作った笑顔が虚像であろうと、あたしの精一杯なの 嘘くさいなんて言わずにかわいいって言ってほしい
ただ、大好きな人たちにだけは、それが嘘だと見破ってほしいとか思うんだよ
涙を拭われるのは好きじゃない
視界は歪んでる、泣いていることくらいあたしが1番気づいてる
なにより、拭ってくれた涙は綺麗なもんじゃないの
大好きな作家の文庫本を手に取る、帯には大好き"だった"バンドのボーカルの文言がついていた
コンビニエンスストアで飲み物を買おうと思ったけれど、向きを変えて後ろに戻る行為が、この瞬間はどんなことよりも面倒だった