あたしとお前といつかのあたし

精神科のロビーで二度見される女

新宿三丁目

雨の日に、膝をつけて座り込んで泣いていた

目の前を通ったクラスメイトが「お前は本当に雨が似合うよな」とあたしを一瞥して通り過ぎる 後ろの女がおまけのように、あたしに泥水をかけて去った

あたしはあの日から、雨が降る日は苦手だ

 

大嫌いだけど愛してたはずの新宿に、もう愛する余地はなかった

今日に限った感情かもしれないけれど、街全体から恨まれている気がした

男を育てていた時に使った場所、お金なら無限に出てきたときに見ていた景色、いつかの男に殴られた場所、「助けて」と叫んだのに振り向かれるだけで誰も助けてくれなかった交差点、あいつが死んだビル

あたしを探しているはずの半グレが突然現れて刺されてしまう気がした それを怖いと思う資格がないほどに、この街では好き放題していた

 

汗をかいていた 立っていたけれど、座っている気がした

口が渇ききっていた

ベンゾ離脱の気もするけれど、あれを吸った時の感覚と似ている

 

ああ、もうどんな歌も聞きたくない