あたしとお前といつかのあたし

精神科のロビーで二度見される女

かくれんぼ

左耳のピアスを全部外した

愛してる男に傷つけられたくて増えていった小さな穴は6つになってしまった

あたしの左耳には6人分との刹那的な思い出と狂気的な愛が埋まってる

久々に触った何の金属も付いていない左耳の感触が急に昔を思い出させた

 

ピアスなんてあけるような大人になるはずじゃなかった

ましてや昔の女になる覚悟を決めて叶わない恋だと感じた時に開けて欲しくなってできる穴だとも思っていなかった

 

リストカットの跡が消えないからって薔薇のタトゥーを入れようだなんて

そもそもリストカットなんてする人間になるはずじゃなかった

男の影響で固い決意をしてやめた傷痕を タトゥーで隠そうとする自分はまるで他人だ

 

身体を売るって言うけれど、身体なんて本当はどうでもよくて、削られていく精神を換金しているだけなの

目をつぶってなんとなくの女を演じていればお金が貰えるけれど、帰り道に覚える喪失感は1人じゃ耐えられなくなる独特のもの

 

ずっと満たされていたいし ずっと笑っていたいけど、あたしが選んだ人生はそれが許されない世界線の物語だった

 

流行りの曲なんてわからない

そんなものより辛い時に支えてくれた思い出の曲のほうがいい 初めの音だけであの頃に戻れるから

 

酒にも薬にも頼らずに眠れたらきっと幸せで、でも好きな人の横でならそれができる

だからいつも、俺といる時ほんとすぐ寝るよな、だなんて言われる

それは貴方がいるからなのに、と言えたことは一度もないけれど

毎日のように一緒にいれば、疲れたあなたが先に寝てしまうこともある

 

 

ねえ、そういえば

 

あなたが眠った後に泣くのは嫌