朝が来た そこには誰もいなかった
目を開けると12時を過ぎていた 区分は午後になってしまったものの、今日の予定を思い浮かべればコンサータを飲んだ方がいいと思い枕元に手を伸ばす 届かなかった気がした 部屋の電気は消えていた
狭くて暗い部屋で仕事をしていた
招かれている側なので文句を言えるわけもなく、自分より3分だけ早く着いた編集長にだけ出されたケーキがやけに美味しそうに見えた
悲しみを打ち消すように持参したペットボトルの水を口に含んだ
そういえば、2年前にあたしの首を切った編集長は4月に左遷されたと聞いた
家に帰れるけれど、せっかく誘われたのでパーティーへ向かった
何次会だかも数えられなくなった頃、もうコンビニで好きなものを買って、一緒にいたうちの1人の家に上がり込むことにした
3階に上がるエレベーターは、やけにさっきの仕事先で乗ったエレベーターと似ていて軽く怯えるあたしに、「好きなものを買ったらいい」となんでもカゴに入れさせてくれた人があたしに請求するお金の計算をし始めた
格好の悪い男だなと思いながらも笑顔で支払いに応じた 一世代前の薄ピンクの汚れた財布を使っていた 二世代前の財布なら、一昨日友達にあげた
とはいえあまりにも高かったから憧れなんてものはなくなり抗議した
誰も味方なんてしてくれなかった 全員があたしの敵だった
周り全てが怖くなって、友達に電話をした
上手く話せていないことくらいわかっていても、兎に角聞いて欲しかった 電話は切られて、電波が悪いところにいるからと言われた
枕元のカッターで左腕を勢いよく切って、同じピンクのポーチからコンサータを探したがなかった
体温計を探したが、寝る前に食べたチョコレート菓子のゴミが散らばっているだけだった
電気のリモコンで点灯を押したが音がなることはなかった
身体を起こして少し歩く うがいをしてしまったから、もう基礎体温は測れないなと思った
長袖の服を着ていたけれど、どこも汚れていなかった
足元に置いてあったポーチからコンサータを取り出して1錠飲んだ
そういえばあの憧れの人を見たのは2週間ほど前のことで、話したことは1度もない