あたしとお前といつかのあたし

精神科のロビーで二度見される女

邪魔な遺書

苺ミルクが好き

いつもは何かに遠慮して、水色のストローをさして飲むんだけど、その日は1本だけ残っていたピンク色のストローをさしてみた

自分が少しだけ可愛くなった気がした

その日の苺ミルクはいつもよりずっと不味かった

 

お天気が不安定だと気圧の変動も激しい

精神薬に頼って生きる人間には深刻な事態で、息苦しい日々が続く

誰かといると自分が邪魔者だと思い込んでしまうが故に、その誰かを自分の世界の邪魔者にして心ない言葉しか発せなくなる

そのくせ独りになった瞬間に、突然泣き喚いたり叫んで奇行に走ったりと、自分を見失う

せめて誰かに助けてと言えたら、と思いながらも自らSOSのサインを出すことはない

呼吸をして生を繋ぐことが、独りのあたしにできる最大限の行動で、他者と関わる時には仮面を被った理想の自分を演じることで悔いのない余生を過ごしている

あたしの人生、先は長くないと最近ぼんやりと思う

 

何枚も重なってしまった遺書、そのどれもが何か違う

満足のいく遺書が書けた日には 笑って死ねるのだろうか

 

世の中は難しいことばかりで、あたしには到底理解ができない

何度も考えてはみたけれど、結局自分が不必要な存在であるという結論に終わる

あたしが死んだら忘れてくれと言い始めて、だいぶ時が経ってしまった

このままじゃそう伝えた人たちが、忘れてくれと頼んだことを忘れてしまう

 

大好きだったはずの人たちが、どんどんあたしの希死念慮を膨らませていく

今も大好きなはずなのに敵に見える瞬間がある

そんな自分が怖くて仕方ない気もするし、正常な気もする

正解なんて此処にはない

 

あたしが死を選ぶ瞬間は、なにかしらの正解を見つけた時なのか、はたまたお気に入りの遺書が書けた時なのだろうか

何もわからないけれど、欲を言えば助けて欲しかった

せめて助けてと大好きな人たちに叫んでみたかった