あたしとお前といつかのあたし

精神科のロビーで二度見される女

夢十夜

苦しい 息が苦しい

時計を見るとまだ朝の7時で、寝るときに電話して、そのままお互い寝てしまったであろう相手も寝ていた

必死で名前を呼んで起こそうとしているそれは、だいぶ故人の棺に話しかける必死さと似ていた

 

寒い早朝のベランダで、アイツと魔法を使った

今日はやたらと寒い 昨日の寝酒が少しまだ残っている気がした

本当はまだ眠いのに、寝つけない

手が震えていて、この文章を打つのも本当はつらいけど、別にそれ以外やることがない

 

とにかく今あたしのベクトルは"生きてること"への罪悪感で、それと毎秒闘っている人間もいれば、あたしのように不意に感覚が襲いかかる人間もいる

なんとかして、贖罪を果たすため身体を自ら切って薬を飲んでとにかくどんな手を使ってでも自分を傷つける

それでも自分が傷ついていなくて、自己嫌悪に陥る

客観的に見たら、十分に傷ついていることくらい心のどこかではわかっている

 

予定があるんだ

大切な予定がいくつもある日なんだ

誰も助けてくれない世界に、時折藁にもすがる思いで手を出してしまうことがある 誰かが手を差し伸べてくれるわけではないとわかっているのに

 

人前に向けた自分が嫌いだ

いつも笑っていて、素直に泣いたりもして、頭がよかったり、別に怒ったりもしなくて

そんなの本当の自分じゃなくて、あたしはもっと醜い

みんなそうなのかもしれないけど、だからこそあたしだってそうなの

たまには価値のない軽い言葉で束ねて欲しい

流行りの言葉よりは長く生きるつもりだし

(私を束ねて/クリープハイプより引用)

 

もし誰か大切な人が同じように悩んでいたら、生きてるだけで素晴らしい出会ってくれてありがとうだなんて言うんだろう

それは心からの本心で、余計なものは一切混ざっていない

しかし自分に対して、自分の"生"に対して肯定の感情を覚えたことは1度たりともない

小さい頃の自分は、人の顔を窺いながら必死でその社会を壊さないように生きていた

あんなもの、実質自分ですらない

それなのに記憶だけが消えなくて、今日も自分が生きていることへの罪悪感に何もできずにいる

 

「こんな夢を見た」

そう言えたら、どれほど楽なのだろうか