あたしとお前といつかのあたし

精神科のロビーで二度見される女

ベンゾ離脱地獄体験日記

脚が震えている、

それを抑えようとした腕も震えている。

 

朝は急ぎ足だった

1日の活動時間に集中力を高めるためにコンサータを4錠口に放り込んで家を出た。

 

通勤ラッシュ前の満員電車に揺られながら、一刻も早くデパスリスパダールを飲みたい衝動に駆られた

限られた空間に人口が密集していることに強迫観念を覚えるあたしには、必要不可欠な薬だ

乗り換え駅につき鞄を開ける、しかしいつもの袋がない、常備薬の袋を部屋に忘れてきたのだ

地獄の1日が始まった

 

朝の時点でベンゾ離脱の身体症状は現れていた。幻聴、痺れ、頭痛、震え、めまい、それに加えて猛烈な吐き気に襲われていた。

なんとか薬の代わりにと煙草を吸っても治らない

ひたすらに止まらない震えと痺れを気にしながら、強い吐き気に耐えていた

 

中でも大学の講義中に潮紅、発汗、動悸、過呼吸の症状が顕著に現れた

授業など受けている余裕はどこにもなかった

何度も抜け出しては、自分がどこいるのかわからなくなり、気づけば休み時間が訪れた

 

コンサータの副作用である食欲減退とベンゾ離脱の吐き気に襲われ、なにを口にしても不快感を覚える

食事を諦め、次々現れる身体の不調に耐え続けた

 

詳しいことは割愛するが、1日を終えた電車の中でも震えや吐き気は止まらなかった。

ただ、終日様々な身体症状に襲われ続けたあたしの精神が完全に崩壊していた。

目や口が異常に渇き、さらにインフルエンザにかかったかのようなだるさ、発熱のような感覚、関節痛、

歩くために身体に力を入れようとしても、どこに力を入れればいいのかがわからない

入れようとしたところで、思い通りには入らない

信号機の色がわかるようでわからない、いつ渡ればいいのかわからない

なにかに急かされている気がしてならなくて、必死で家に向かって歩いているのに、一向に足が進まない

二足歩行できちんと歩いてたつもりが、車道に膝から崩れ落ちて座り込んでいた。

 

なんとか家について体温を測る、平熱だった

最後の力を振り絞りデパスを服用し横になり身体を休めた

徐々に震えが止まり、頭痛が収まり、意識がはっきりしてくる

 

ようやく人間という生物に戻ってこられた気がした。今日のところはトリアゾラムに溺れて幸せな夢を見ながら眠ろうか。